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大賞

2つの生活と、 いくつかの出来事

北口 智浩

東京芸術大学 大学院 美術研究科 建築学

共同制作者/山下 祥平

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この住人達は一枚の壁を挟みながら並列に暮らす。両者の関係は壁に開けられた5つの穴だけである。この穴は、もう一方の生活をまるで絵画のように切り取る。それは一見、己から切り離されたヴァーチャルな世界に感じられるだろう。親密な関係の二人の間に設けられた壁の5つの覗き穴によって切り取られた日々の生活の中で起こる様々な出来事を投影する生活の情景(風景)と自身が対峙すると、住人はしだいに「遠いようで近い」そんな感覚を覚えるはずである。その時、相手の存在を互いに認識し、意識し合い営まれる関係になっていくだろう。このリアルとヴァーチャルの際どい状況が却って、確かにそこで営まれているであろう生活をよりリアルなものとして捉えられるだろう。日々刻々と変化する、その情景(絵画)をお互いに見落とすことなく。遠いようで近い、そんな対立・対比の中で起こる、いくつかの出来事であってほしい。

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