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佳作

追憶する集落、丘、または伽藍

大和田 卓

東京大学 大学院 
工学系研究科 建築学専攻

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長い月日をかけて築き上げてきた街がいかにもろく儚いか、震災で痛感したことである。空間の風景として後世に段階的に残していくことが都市の持続性を構築していくと考える。そのためには強く公共的な土木と空間スケールとしての建築が密接な「土建」であるべきだ。特に木造建築の密集地帯の存続は難題だ。建物の老朽化に伴い、空き地になるか、建替えられる。確かに文化価値は低いが、日本独特のスケールや空間が残る。対象は木造住宅の密集地帯。その一区画の廃屋や空家の外面にコンクリートを流し込むように、建物の外形を空間として残す人工地盤を提案する。役目を終えた建築は、土木の中に「虚構」として保存される。新しい建物は人工地盤をインフラとして、そこにへばりつく。やがてその外形も継承される。インフィルの保存とインフラの増殖の繰り返しはやがて地形となり、へばりつく住居は集落をなす。それは永続的な公共事業としての伽藍にも類する。

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