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最優秀賞
記憶形
―15の記憶形に形作られる’ドア’―
佐野 勇太
メルボルン大学大学院
建築デザイン専攻
もう少しでこの街を離れなければならない。心に残る記憶に形を与え、一つの記憶形として建築化する。それは私の15の記憶の混ざり合いによって創造される建築である。ある街の、あるドアがその内側に隠れた空間の様相を映し出すように。その建築は、その街で私個人が過ごした時間を超え、私自身が感じた空間を超え、人間各々がこれまで携えてきた記憶に語りかけ、形作られる。それはつまり各々の記憶を基に、形を変え、素材を変え、機能を変える。その瞬間、その創出空間は私の15の記憶を超越する。 私たち一人一人が、ある対象に対してそれぞれ違った記憶を持つように。私たちはこの建築において各々の’ドア’を各々の記憶と供にデザインする。その’ドア’は時に大きく、時に小さい。その’ドア’は時に硬く、時に柔らかい。その記憶の’ドア’に呼応して形作られる記憶形は時にどこまでも広がり、建築の更なる可能性を呼び起こす。
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