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佳作B賞
溜(タ)め家(イエ)―ため池と共に生きる大きな家の提案―
西尾 依歩紀
金沢工業大学 建築学部
建築学科
私の故郷、大阪・泉州に数多く点在するため池。社会構造の変化によって、農業用水という本来の価値を失い、人々の日常や社会から見放され、今も尚消え続けている。私は、ため池に対して、「懐の大きさ」に価値を見出した。そこで、建築と営みを一体で考えた、様々な者が共生する家を提案する。建築は、「極度の水位変動」、「かいぼり」、「自然水質浄化」の3つのキーワードからアプローチし、それらが相互的に関係し合いながら、新たなため池の姿を形成する。人々が池の環境を、日常的に手を掛けることで、人間も含めた多様な動植物の棲み処として生まれ変わる。池や周辺に点在する要素・文化・資源を「溜める」ことで、都市化により、滞っていたまちを再び動かす場所として蘇る。
そこは、生活に要らなくなったものから目を逸らし、切り落とし、何もかもを管理下に置く窮屈な世界では見ることのなかった「大きな家」に成り得ると考える。
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