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佳作C賞
境界線に屋根をかける
岩下 隆平
東京工業大学
環境社会理工学院 建築学系
今の住宅地には、家とその他公的空間を隔てる塀が未だに多く存在する。その線的な境界は、家を窮屈にし、プライベートの保護という意味を越えて強くそこに存在する。しかし、本来家とは、設計された建物のボリュームだけを指すものではない。住宅敷地という決定された線がありつつも、その線の上に設えを置いてみたり、そこで街の人と会話したり、BBQなどのイベントをしたりと、境界を空間的にうまく使うことで家の領域を拡張している瞬間がふとした時に発生していることがある。私にとって大きな家とは、家そのもの大きく設計するということではない。その家に内在するものを、誰のものでもない空間まで拡張して関係性をもつことである。本提案では、境界を空間化するために、線を引くのではなくそこに屋根をかけることでさまざまな活動を包み込める設えを設計した。この屋根は、延長された軒先となり、家は街に滲み出すことで、大きくて自由な存在になる。
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