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奨励作品
百段の庭、四百棟の家
田中 邦明
横浜国立大学 大学院 工学府
社会空間システム学専攻
建築学コース Y-GSA
造成→配置のプロセスに対し、より微細な時間的・空間的尺度を持ちこむことで斜面地ならではの自由さを持つ風景が生まれる。家といえないような小さな箱と、造成といえないような小さな段差の集積とで斜面地の大きな集合住宅をつくりかえる。建物を小さな箱に分解することで、造成のスケールを一つ一つ歩いて乗り越えられる200mmの段差まで落とし込む。無数の水平面がひとつながりになった外部空間は、斜面地において最も広がりのある生活の場となる。そこは誰でも通れる坂道であると同時に、起伏を持った庭でもある。箱は外部を介して分散的に使ったり、独立的な住居にしたり、つなげて共用空間とすることもできる。微細な解像度でつくられた大きな地表面には、人々の多彩なアクティビティがあふれ出す。そこには人間の生活と場所の開拓が重なりあった新しい風景が広がっている。
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