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入選
朽ちる間
青木 公隆
東京大学 大学院 工学研究科 建築学
共同制作者/坂巻 直哉
この住宅はふたつの空間の質を持っている。時の経過を感じさせない静止画のような真っ白で抽象的な空間と、それに内包された風化していく空間である。時の経過とともに朽ちていく板、錆びていく鉄を主な材料とし、風・雨が入り込む半屋外の空間の3種類の部屋が内包されている。細長く引き伸ばされた塀のような部屋、空に向かってのびた塔のような部屋、地下に潜り込んだ洞窟のような部屋の持つ風化していく空間の質は、否応なしに一瞬一瞬抽象的な空間での生活に侵入する。この住宅の住み手は、風化していく空間をズルズルと引きずりながら、静止画のような空間で生活を送る。頭の奥にこびりついた廃墟のような風景は、日常生活の中で住み手の意識に浸透する。
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