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佳作C

智の積層

瀬川 育未

筑波大学大学院 人間総合科学研究科
環境デザイン専攻

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これは貧困層の家庭における子供たちのための空間の提案である。かつて一億総中流と呼ばれていた住宅と経済の歯車は分解し、富裕と貧困の二極化へと進んでいる。では貧困層における「住宅」への夢とはなんだろうか。それは古今変わらず “未来への希望” なのではないかと考える。現代では経済格差が教育格差を生み、格差の連鎖をもたらすと言われているが、経済的な貧困が子供たちの心の豊さまで奪う訳ではない。本提案では、各々の家庭が持つ書棚を住戸外へ反転させることによって、住戸の数だけ知が積層する2m四方のヴォイドを構成する。螺旋階段と子供部屋からのみアクセスできるこの空間は子供たちの身体とふるまいを包容し、大人や外部環境から一線を画す隠れ家/遊び場となる。子供たちが貧困から来る様々な問題にぶつかった時、本の中の様々な世界や知識、そしてこの空間が心を支え、豊かな未来へ後押しすることができたらと思う。

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