研究報告要約
国際交流
31-201
目的
平沼 孝啓
1.学生のための発表の場をつくる
学内での研究活動が主体となっている学生にとって、一般市民に開かれた公開プレゼンテーションを行うこと自体が非常に貴重な体験となります。また、現在建築界で活躍する建築家を多数ゲスト講師に迎えることで、質の高い講評を参加者は受けることができます。また、ワークショップ終了後の会場での展示や、会期報告としてホームページや冊子の作成を行い、ワークショップの効果がさらに継続されるような仕組みをつくります。
2.教育・研究活動の新たなモデルケースをつくる
海外での教育経験のある講師を招聘する等、国際的な観点から建築や環境に対する教育活動を行うワークショップとして、国内では他に類を見ない貴重な教育の場を設けます。また、行政や教育機関の連携事業として開催することで、国内外から注目される教育・研究活動として、質の高いワークショップをつくることを目指します。
3.地球環境に対する若い世代の意識を育む
現在、関西地方には、世界に誇る貴重な文化遺産を有する京都や奈良、琵琶湖や紀伊半島の雄大な自然など、豊かな環境が数多く残っています。しかしながら、近年の社会経済活動は環境への負荷を増大させ、歴史的に価値の高い環境をも脅かすまでに至っています。このワークショップでは一人一人が国内における地域環境の特殊性、有限性を深く認識し、今後の建築設計活動において環境への配慮を高めていくと同時に、地球環境の保全に貢献していくことをねらいとしています。次世代を担う学生たちが、具体的な経験を通して環境に対する意識を育むことは、環境と建築が共存できる未来へと、着実につながるのではないかと考えます。
4.地域との継続的な交流をはかる
歴史、文化、自然が一体となって残る地域の特色を生かしたプログラムを主軸に、特殊な地域環境や、住民との交流によって生み出される制作体験を目的としています。各地域には、それぞれの土地で積み重ねてきた歴史や文化、風土があり、短期間のイベントであればそれらを深く知ることはできませんが、数ヶ月にわたる継続的な活動を前提として取り組むことで、より具体的な提案や制作によって、地域に還元していくことができると考えています。
内容
制作内容 “唯一無二の環境を守るために、あなたの提案を実現化してください”
フォリーの原寸模型を地域産材(自然素材 / 木材、和紙、土、石など)の材料で制作
日本の文化を世界へ率いる方々や、建築・美術 両分野を代表する評論家をはじめ、第一線で活躍をされている建築家や都市計画家、アートディレクターやコミュニティデザイナー、構造研究を担い教鞭を執られているストラクチャー・エンジニアによる講評。また近畿二府四県の大学で教鞭を執られ、日本を代表されるプロフェッサー・アーキテクトの皆さまにご参加いただきました。
太田伸之 (実業家 │前クールジャパン機構 CEO
小松浩 (ジャーナリスト │ 毎日新聞主筆)
建畠晢 (美術評論家 │ 多摩美術大学学長)
南條史生 (美術評論家 │ 森美術館館長)
五十嵐太郎(建築史家・建築評論家 │ 東北大学教授)
稲山正弘 (構造家 │ 東京大学 教授)
江村哲哉 (構造家 │ アラップ構造エンジニア)
腰原幹雄 (構造家 │ 東京大学教授)
櫻井正幸 (エンジニア │ 旭ビルウォール代表取締役社長)
佐藤淳 (構造家 │ 東京大学准教授)
陶器浩一 (構造家 │ 滋賀県立大学教授)
芦澤竜一 (建築家 │ 滋賀県立大学教授)
遠藤秀平 (建築家 │ 神戸大学教授)
竹原義二 (建築家 │ 摂南大学教授)
長田直之 (建築家 │ 奈良女子大学准教授)
平田晃久 (建築家 │ 京都大学教授)
平沼孝啓 (建築家 │ 平沼孝啓建築研究所主宰)
安井昇 (建築家 │ 桜設計集団代表)
山代悟 (建築家 │ 芝浦工業大学特任教授)
横山俊祐 (建築家 │ 大阪市立大学教授)
吉村靖孝 (建築家 │ 早稲田大学教授)
参加対象者 建築および環境デザイン等の分野を学ぶ学生および院生
参加予定人数 60名
大学院生1人+参加学生4人×8班 計41名 + 運営サポーター6名
主 催 アートアンドアーキテクトフェスタ
方法
2018年
12月01日(土)参加者募集開始
12月15日(土)事業計画(草案)決定
2019年
05月09日(木)参加説明会開催(東京大学)山代悟
05月16日(木)参加説明会開催(京都大学)竹原義二
05月31日(金)23:59必着 参加者募集締切(参加者決定)
06月22日(土)現地説明・調査
07月27日(土)提案作品講評会
07月28日(日)実施制作打合せ
08月27日(火)~09月02日(月)
合宿にて原寸制作ファイナル(6泊7日)
09月1日(日)公開プレゼンテーション(1日間)
09月2日(月)清掃・解散(1日間)
結論・考察
わが国の歴史的な環境と建築が残り、世界に誇る聖地にて「6度」にわたる斬新な教育プログラムを実践し、毎開催のプロセスを示した出版物で広く教育上の効果を高め、日本ではじまった環境の聖地から「新たな建築」の可能性が生まれてくることを知らしめた、現代における最も優れた教育活動の一例であります。そして今年の開催は、「平成の大遷宮」完遂の年に、出雲大社様と共に計画を決定し、感動的な結果を生み出し大成功を収めました。特筆すべきは、学生に知恵を与えてくださるアドバイザー様が、学生の人数とほぼ同数集まりご教示くださったことです。地元の方々とのこれほどの一体感は、今まで以上であり、完成した作品を一緒に作り上げた絆が生まれていました。そして、出雲大社様からは、学生が運営し、学生の力でつくり上げる開催に対し、統率が取れていて感動したと、お褒めの言葉を頂戴しました。また、神社の御社殿を造営する遷宮には、『技術の継承』という大きな役割があり、神社の社殿を造営し続ける技術を絶やさぬよう、建築界・神社界が手を携えて行ければ心強い、とのお言葉もいただきました。
既に2020年東大寺、2021年明治神宮開催が決定しておりますが、過去の開催地からも応援に駆けつけてくださいました。また、他の都道府県から、開催要望をいただくなど、波及効果が発生しております。地域協力を得ながら建築界の教育効果を増すよう、今後も聖地での壮大な開催を継続できるよう、計画を進めていきます。
英文要約
研究題目
Architectural Workshop Izumo 2019
申請者(代表研究者)氏名・所属機関及び職名
Non-Profit Organization (NPO) Art and Architect Festa (AAF)
Chief Director
Kohki Hiranuma (Kohki Hiranuma Architect & Associates)
本文
Architectural workshop is a workshop where students majoring in fields such as architecture and environmental design leave the campus and under the guidance of lecturers, mainly architects active in Japan and abroad, In that place, the purpose is to create real works.