top of page

研究報告要約

国際交流

29-202

目的

平沼 孝啓

若手建築家の登竜門となった本展は、これからの活躍が期待される若手建築家に発表の機会を与え、これからの建築の可能性を提示し、多くの人に向けた展示・発表を行うことを目的としている。
展示内容は、出展建築家による現在進行中、あるいは過去に手がけた建築プロジェクトのプレゼンテーションを中心に、建築模型やドローイング、写真、映像、インスタレーションなど、様々な手法を用いて、この展覧会でしか見られないオリジナル展示を行い、会場構成は、1組あたり約30㎡の展示スペースを用意し、小規模のギャラリーで行われる個展と同等のスケール感により、作品展示を行った。
作品点数は、基本的には1組あたり1つのテーマに基づいた1作品としており、あわせてU-35建築家の思想や実際の制作のプロセスを伝えるインタビュー映像1点を制作し、新作が披露された。
また、展覧会期中には、記念シンポジウムの開催(定員381名)を行い、日本を代表し、全国で活躍をする出展若手建築家のひとつ上の世代(45歳前後)の建築家と建築史家を一同に招き、U-35建築家との議論の中で、これからの日本の建築の考え方を探った。
建築の展覧会は、一般的なファインアートの美術展とは異なり、展示物の発表だけが主体とならないことから、展示の性質や目的に違いがあり、発展途上の分野であるといえる。しかし、建築の展覧会とは、展覧会自体を体験する人たちにとって、より“身近なもの”になる可能性を持っている。なぜなら多くの場合において、非日常的な存在性を放ち常識に対する新たな視座を示していくアートに対して、建築は私たち人間が生きていくための場所として、日常の中に当たり前に存在しているものだからである。その空間性に豊かさを求めたいと建築家たちは建築に願いをこめて提案する。この展覧会を通じて、多くの方々にみてもらい講評をいただくことで、人と建築が相互に関連しあい存在し続けている建築の存在を再認識すると共に、このような建築の展覧会の継続を担った新しくも発展的な表現というひとつの分野のあり方を深く追及することは、とても重要なことだと考えている。
私たちはこの展覧会を通じて、日本人が日ごろから意識しない建築の文化に気づく機会となることを望んでおり、人類が進歩するごとに発展してきた技術により、社会も建築も発展してきたものが、一般に受け入れられる調和と乖離していないことを示す機会としても提供できるものと考えている。

内容

展覧会開催概要

名称
Under 35 Architects exhibition 2017
35歳以下の若手建築家による建築の展覧会 2017 ※通称:U-35展

会期
2017年10月20日(金)~ 30日(月)【11日間開催】
※開催期間無休

開場時間
12:00~20:00(最終入場 19:30)

会場
グランフロント大阪・うめきた SHIP ホール(大阪駅・中央北口前)

住所
〒530-0011 大阪市北区大深町 4-1 うめきた SHIP2F

入場料
1,000円(税込)

出展者
将来、国内外において活躍が期待される 35 歳以下の若手建築家
齋藤隆太郎 酒井亮憲 千種成顕 野中あつみ+三谷裕樹
前嶋章太郎 三井嶺 安田智紀

来場対象
建築家・デザイナー・アーティスト/コーディネーター/クリエーター/
公官庁・団体協会/教育機関(高校・大学・専門学校)/一般
住宅・リノベーション/リフォーム関連、家具、照明、インテリア家電、
ホームテキスタイル、インテリアアクセサリー、設備機器、プロダクトデザイン、
インテリア及び建築デザイン、その他

展示内容
建築模型、ドローイング、写真、映像、インスタレーションなど、
様々な表現手法を用いた多角的な展示

主催
特定非営利活動法人アートアンドアーキテクトフェスタ

方法

(開催スケジュール)

2016年11月01日(火)
(AAF)出展者公募開始

2017年01月27日(金)
(AAF)2017年開催日決定

2017年02月24日(金)
(AAF)出展者公募締切(23:59必着)

選考期間  (必要に応じ面接審査(東京・大阪に於いて))

【審査方法】
審査員 五十嵐太郎氏による書類審査(履歴書・ポートフォリオ)にて選考の上、必要に応じ現地視察・面接審査により出展者の選出を行いました。

03月10日(金)
(AAF)出展者決定、会場構成案決定

03月11日(土)
(AAF)出展)
(候補)者選考結果メール通知(各応募者へ通知)

03月28日(火)
(出展者)資料・情報提出

04月13日(木)
09:30(展覧会・会場集合)
10:00~ 出展者会議・会場下見
13:00~ 出展者インタビュー収録(倉方俊輔さま)終了20:00
13:00~ 出展者・コンセプト映像収録

04月21日(金)
(AAF)プレスリリース

04月28日(金)
(出展者)展示作品下案提出
(平面図・展開図1/50、パース、仕様書)
(出展者)図録掲載データの提出

05月05日(金)
(出展者)展覧会図録掲載データ提出締切
(出展者)展示作品案提出
(下案の完成図、模型 1/50(会場模型挿入用))

05月11日(木)-12日(金)
(関東の出展者)アトリエ撮影と出展作品撮影
(関西の出展者は5/19(金)AM)

05月20日(土)
(AAF)U-35 2017オペレーションブック(図録)入稿

09月15日(金)
(出展者)シンポジウム発表用 スライドデータの提出

10月17日(火)
(AAF)会場基本設営

10月18日(水)-19日(木)
(出展者)【2日間設営】作品搬入・設営 完成

10月20日(金)
08:45~ 会場写真撮影(写真家・繁田諭)
13:00~ (大阪・南港)LIVIG &DESIGN 会場にてレクチャー

10月20日(金)-30日(月)
展覧会期(合計11日間)

10月21日(土)
記念シンポジウム
ゲスト建築家(A45)Gold Medal選出・授賞式)
今年のゴールドメダル賞は、三井嶺さんが受賞されました。

10月31日(火)
10:00より撤去・搬出 最終完全撤去17:00

結論・考察

周囲からの期待がますます高まっているが、「建築の展覧会」の意義を、改めて問い直したい。建築家は、工学的な知識と芸術的な感性を必要とする高度な職能であることから、40代でもまだまだ若手と称されることもあり、一人前になるには相当の年月を要する。当然、20代では仕事の依頼も少なく、厳しい道のりを乗り越えていかなければいけない。そのようなことを承知の上で、早い時期から独立して活動をはじめた若手建築家たちは、一方で、将来の可能性が最も大きく、これからの時代を牽引していく存在として、おおいに期待できるのではないだろうか。
東日本大震災を機に、建築家のみならず、多くの人びとがこれからの未来の環境について考え直すようになった。原発の問題なども重なり、復興には長い年月がかかることが予想される。このような状況の中で、これからの建築界を担っていく最も若い世代の建築家たちが集い、それぞれに独自の思考によって模索する建築の可能性を示したいと考えた。そして、世代をこえた建築家同士が、互いに建築の未来についての考えを示し、語り合える場をつくることで、次の時代を切り開いていくための機会になればと願っている。
また、以前から目標にしてきた10年継続が目前となり、このたび毎年展覧会に伴い開催しているシンポジウムにご登壇いただいている建築家8名(今回藤本壮介氏は欠席)+建築史家2名の計10名にて「10会議」を発足した。来年度より出展者を自薦・他薦の混合とし、展覧会のレベルアップを図ることや、若手に絞った「建築の展覧会」という類似企画がほとんど存在しないこと、現在、景気停滞によって仕事が減少し、建築メディアが縮小し、これからの我が国を支える若手のチャンスが著しく少なくなった中での本展の企画の重要性をさらに強固にすべく協議を行い、主催者と共に併走していただきながら、さらなる発展を図る所存である。

英文要約

研究題目

U-35 Under 35 Architects exhibition 2017

申請者(代表研究者)氏名・所属機関及び職名

Non-Profit Organization (NPO) Art and Architect Festa (AAF)
Chief Director
Kohki Hiranuma (Kohki Hiranuma Architect & Associates)

本文

This exhibition, which became a gateway to young architects, gives young architects who are expected to be active in the future opportunities for presentation, present possibilities of construction in the future, and display and present for many people It is aimed at.
We encourage new generation of Architects to contribute for the future. In this exhibition, young architects are given the opportunity to measure their abilities and express their ideas for the future architecture to the society. Since 2015, one outstanding work during the exhibition will be selected for the “U-35 Gold Medal”.

bottom of page